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SURFE²R N1

トランスポーターの
電流測定方法

Solid supported membrane(SSM)テクノロジーを利用した電気生理学的な測定手法は、パッチクランプ法などの一般的な手法とは異なり、生細胞の代わりに様々なnativeの膜や人工的な膜、また膜小胞体などを使用します。使用されるサンプルは、タンパク質を再構成したプロテオリポソームや細胞小器官、細胞膜の膜調製物まで多岐にわたります。
サンプル調製には、細菌細胞、培養真核細胞、またはnativeの組織などが使用できます。膜サンプルをSSM上に添加することにより、膜がSSM上に固定化され、容量成分的につながった複合膜が形成されます。SSM自体は、チオール化金でコーティングされたセンサーチップ上の脂質単分子膜で構成されています。パッチクランプと大きく異なる点の 1つは、最大3 mmというセンサーサイズです。これにより、約 109個のトランスポーターを同時に測定することが可能で、S/N比が大幅に向上します。したがって、一般的にターンオーバーの低いとされているターゲットでも、電気生理学的な特性評価を行うことができます。

一般的な電気生理学
測定方法と異なる点

SSMテクノロジーの最大の特徴はその測定原理です。パッチクランプ法の場合、電圧を正確にコントロールすることでその電圧を駆動力とした電流を記録します。一方でSSMテクノロジーでは溶液を高速で交換することにより、基質やイオンの濃度勾配を作り、その濃度勾配を駆動力とした反応を記録します。電荷をもった基質またはイオンがリポソームや膜小胞内へと輸送されると、膜内に電荷の偏りが生じ、結果として膜電位が発生します。金電極上に固定化されたSSMと膜サンプルは容量成分的につながっているため、この膜電位を金電極において計測することが出来ます。つまり、電荷をもった基質またはイオンの輸送が起こることで生じる膜電位の変化を直接測定することができます。輸送が行われることで、いずれ膜電位と駆動力が等しくなり、輸送は停止します。そのため、SSMテクノロジーで得られる電流応答は、一過的な波形となります。得られる電流のピーク値は定常状態条件下におけるトランスポーターの活性を表します。得られる電流のピーク値からの減衰は非常に速いため、測定時間は1秒程度で完了します。SSMは膜の安定性が非常に高いため、同じセンサ-に対し、複数の条件のバッファーでの測定、濃度依存性の測定や速度定数の測定など、様々な測定を繰り返し行うこともできます。

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